認知心理学の知見なども用いて、警鐘が鳴らされている

認知心理学の知見なども用いて、警鐘が鳴らされている

●「フィルターバブル」に包まれて
当初は誰に対しても同じ情報を提供していたネットだが、フェイスブックの影響もあって、グーグルなども利用者一人一人にあわせて検索結果を表示するようになってきたイーライ・パリサーの『閉じこもるインターネット』(早川書房)という本は、そのようなネットが社会にもたらす問題点を指摘している
個人情報をもとにシステム側が情報を選別するようになってきて、その結果どこへ行っても「自分空間」ができあがる居心地がいい一方で「自分」が肥大していく「フィルターバブル」の世界になってきたという
領土問題をめぐる隣国との争いでも、国単位の情報の取捨選択が行われていることがまざまざと感じとれたメディアの力も加わり、いずれの国もまったく違う現実を見ていて、自分たちの言うことが絶対正しいという「自国空間」を形作っている
こうした問題は『インターネットは民主主義の敵か』といういまやこの分野の古典ともいえる本も指摘していたこれだけ情報量が多くなってしまえばもはやシステムの側で取捨選択してもらうより仕方がないが、冒頭の本は、認知心理学などの知見も紹介しながら問題点を指摘していて説得力がある

●人間には見たくないものは見ないデータ圧縮能力がある
フィルタリングというのはそもそも何百万年も前、人類が生まれる前から存在しているというどういう情報が重要かを判別するのは生物にとってときに生死を分ける重要な機能で、人の場合も同じだが、人間はまずデータを大幅に圧縮する情報の認識についても「読んだ際に重要ではないと感じた部分や記事の文脈などはどんどん削られる」そのようにして見たいと思うことを見るようになる認識機構になっていて、心理学ではこれを確証バイアスと呼ぶそうだパーソナリゼーションの機能は、人間に本来備わっているこうした機能を補完し拡大するものというわけだ
長時間、集中しなければならないアメリカの学生がときに服用しているというアンフェタミンを配合した注意欠陥障害の薬アデラルは、新しい刺激に対する感受性を落とす働きがあることがわかってきたという新しい刺激を退けることによって没頭することを可能にしているわけだ
パーソナリゼーションも一種の没頭を生み出し新しい刺激を排除するものだしかし、イノベーションには偶然の出会いが必要で、過集中はそれを妨げると説いている
「読みたい記事」と「読むべき記事」を適度にバランスをとって読むことで、われわれは知見を増やしているしかし、クリックして読みたいもの、見たいものがすぐ読めたり見たりできるようになって、「読むべき記事」よりも「読みたい記事」を摂取する「現在バイアス」に陥っているとも書かれている

●ストーカーと草食系を生み出すソーシャルメディア?
フェイスブックでは、ある友だちのことを知りたいと思ってその人の情報をクリックすると、その人の発言がどんどん表示されるその人とそんなに強いつながりがなくても存在感がどんどん上昇していく
こうした心理学的効果はストーカーを生み出しやすいことが容易に想像できる実際にはほとんど知らない人でも、その人の生活が自分の前に表示されればされるほどその人を意識するようになるそして、その人の情報をクリックし始めるとますます表示されるようになっていくこういうループにはまると、それほど好きだったわけではなくてもだんだんと惹かれていき、病的な状態に陥ることもある
この本ではこうした思いこみ効果について、頭が悪いと思われた子どもがどうなるかについて、アメリカの学校で行なわれた実験を紹介している
年度初めに子どもたちのIQと知力についての試験結果を先生に渡すその成績はじつはランダムに割り振ったものにすぎないのだが、頭がいいことになっていた子どもたちのIQが大幅に伸びる一方で、平均以下とされた子どもたちは伸びなかったという教師が頭がいいと思いこんだ生徒のIQが実際に伸びていくのに対し、頭が悪いと思いこんだ生徒のIQは伸びない教師の「思いこみ」によって子どもの知的成長が変わるというわけだ
いまはさすがにできないようだが、ずいぶん大胆な実験をやったものだ

体重を減らさなくてはと気にし、ダイエットの広告を目にするとついクリックしてしまう人も、ネットがもたらす効果から逃れられない
クリックするとますますダイエットの広告が表示され、いよいよ体重が気になっていく

選挙についても影響があるだろうとこの本は書いている
平均的なアメリカ人は、大統領選挙などでいつも同じ党に投票するのだそうだすると、電話で説得しようとしても無駄と思われ、選挙になっても家庭訪問や電話などの接触がない平均的なアメリカ人は、選挙には行くがとくに政治に関心があるわけではなくてスポーツや健康などに関心があるそのようなニュースばかり送られてきて、「そもそも大統領選挙が行われていることを平均的な米国人が知るチャンスはあるだろうか」と書いている
大統領選挙があることに気づかないというのは極端にしても、環境問題について関心のある人には、選挙になったときに環境問題についての主張ばかり送られ、ほかの問題に関心を持つきっかけもなく、いよいよ「環境オタク」になっていくこうしたことはすでに起こっていても不思議ではない

このようにパーソナライズされた情報を集中的に送り届けるメディアは、人間の性格をも形作っていくかもしれない
新聞を読んでいたら、若い男が草食系になったのはソーシャルメディアのせいもあるのではないかと書かれていた
自分の情報がソーシャルメディアを通じてたちまち友人・知フィギュアスケートの全日本選手権が22日、札幌市の真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われた女子ショートプログラムに出場した浅田真央(中京大)は62.81点で2位発進鈴木明子(邦和スポーツランド)が65.09点でトップに立った

 以下は、演技終了直後の浅田のコメント
「1つのミスが大きいと思いますが、それを除けば全体的にはしっかりできたと思いますミスの原因は分かっているので、フリーにつなげられると思います原因はショートの最後のジャンプで硬くなってしまったこと、あとは右足で踏ん張りすぎて、真っ直ぐジャンプできなかったことですショートの緊張感は やはりあったと思いますミスが許されない雰囲気があったし、慎重になった面はありました(フリーに向けては)今年最後になると思うので、最高の演技で締めくくりたいと思いますし、次につながる演技をしたいですね

(腰の痛みは)もうあまり感じないです今日も演技中はほとんど痛みはなかったです
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